おぐにっ子からあなたに伝えたいこと~④
「キミたちの選んだ道を応援しています。そしてキミたちの先輩が、小国で選んだ道も知ってほしい。」
自分とは世代の違う彼・彼女が、こんなふうに小国を考えているのだと知った時、新成人だけでなく、たくさんの人達にこのメッセージを知ってもらいたいな、と思いました。「おぐにっ子からあなたへ」、お伝えします。
第4回は、山田拓(たく)さん(38歳)です。
拓さんの勤めている(株)山田車体興業は、知る人ぞ知るBMW認定工場でもあります。ここに初めて来る人は、田んぼや山が続く風景を見て、こんな所に…?と不安になるのだとか。
この会社はお父さんが始めたもの。拓さんは子どもの頃から、車やバイクなどエンジンの付いたものが好きだったといいます。
自分でもいじってみたくて、まずは自転車に排気口を付けたり、ハンドルを反対側に付けたりと、コツコツ改造を重ねました。改造自転車を乗り回すうち、中学校の坂を曲がり切れず大破させた思い出も。
「親には言えないよね、仕方ないから歩いて学校に通った。何かやらかしてる子どもだったなぁ。」
柏崎の高校を卒業後、県外にある自動車整備の専門学校へ進みました。
「県外を選んだのは、一度新潟から出たかったことと、そこでしか学べないものがあったから。」
その学校では教材にスポーツカーが使われるなど、車好きには夢の世界。刺激のある毎日や面白い友達…けれど、都会の騒がしさはもういいかなと、卒業後は小国に戻る道を選びました。ホンダのディーラーなどで修業を積み、「いつかは継ぐのかな」と思っていた、今の会社に入ります。
拓さんは、従業員の時も経営者になった今も、その人が車をどう扱うかよく見ています。
「車の洗い方一つでも、ドアの裏側まできれいにするとか、その手間を惜しまずに働く人を認めてる。」
車への思いは、言葉の端々から感じられます。
「ここに持ち込まれるのは壊れた状態のもの。復元して渡した時に、持ち主の喜ぶ顔を見るのが何より嬉しいね。」
「車をモノ扱いしたことはない。モノというより人に近い感じ。治してやるからなっていう気持ちでいるよ。」
拓さんは、3児のおぐにっ子の父親でもあります。何かやらかしていた子ども時代…拓さんの子どもも、そんな自分に似ているといいます。
「モトクロスの爆音を真似て、チャリに乗りながらブオンブオン言ってる。興味のあることに夢中で、食事は二の次だね。」
遊びも悪さもしたけれど、自分のしたいことをし、したいことのために知恵を絞った子ども時代。
「自分で考えることは大事。こうなったらどうなるかって考えていった先に、段取りや効率も生まれる。そうやって経験からしか身に付かない思考を、鍛え続けることが大事だと思う。」
そんな拓さんに、小国のどこが良いですか?と聞いてみました。
「自分の趣味が多いから、田舎がいいんだよ。町場は車1つ停めるにも、バーベキューの場所1つ探すのも大変だけど、ここはどこでも大丈夫。いろんな制約がないから気兼ねがいらないしね。いやなことがあっても、バイクに乗って山で叫んでこれるじゃない?俺はここが良かったね。」
と笑って答えてくれました。
全4回のインタビューのきっかけは、自分の未来を考え始めたおぐにっ子に、小国で暮らすってこんな感じ、と知ってもらいたかったからです。小国から離れる選択も小国で暮らす選択もあるけれど、私自身が“小国に住みながら働く”というおぐにっ子の未来を想像できなかったからかもしれません。
だからこそ、おぐにっ子の先輩にいろいろ教えてもらいました。自分のこと、家族のこと、仕事のこと、未来のこと…一人一人の選んだ道やその思いを聞きながら、漠然としていた“小国で暮らす”という道が、確かにそこにあるのだと感じました。
おぐにっ子にはいくつもの道があります。その道の一つに“小国で暮らす”道もあることを、伝え続けていきたいと思います。

佐々木知子 支援員