やまのいとなみ|2018/03/19
ばぁちゃんから学んだ道徳の基本
山古志のばぁちゃんと出会ってから13年。
初めて経験するボランティアで避難所運営を任され、右も左もわからないまま活動していくなかで「まわりに対する価値観」に大きな変化が現れることとなった。

ささいなお手伝いに対して、
「いつもありがとう、風邪ひかないようにね!」
の言葉。
倒壊した家の話になると、
「命があるだけ、儲けもん!」
「みんなが無事でいっしょにいるから、頑張れる!」
自分の身の回りの重大さはどこへやら・・・こんな私をいたわってくれる温かい言葉や、仲間を思いやる純粋な精神に胸が詰まった。
そして、弱音を吐かない前向きなばぁちゃんたちは、当然のごとく豪雪の故郷を目指した。
山へ帰ってからのイキイキとした生活ぶりを見て、私よりも人生を何倍も楽しんでいるような笑顔にさらに衝撃を受けた。
「山は楽しい・山があるから生活できる・集落はみんな家族・なんでも話せる仲間と助け合って暮らす・寝たい時に寝る・冬場以外は大好きな畑が中心・野菜がうまくできたら自慢する・畑が終わったらちょっと贅沢をしてみんなで温泉に行く・・・」
ばぁちゃんたちには当たり前のことが、何一つ私には当たり前ではなかった。
ひとつひとつに温もりがある。生きていることの証がある。
こんなにも自然と向き合って生きているばぁちゃんたちから、山の暮らしの力強さを教えられた。
幾度となく、おいしい漬物とお茶を囲んで、昔の話を聞き、他愛もないおしゃべりで大笑いしたことに心から「ありがとう」と伝えたい。

恩返しに、ばぁちゃんから得た道徳に一歩でも近づけるような人生を送って行こう。

この記事を書いた人
佐野玲子 支援員