やまのいとなみ|2019/01/15

おぐにっ子からあなたに伝えたいこと~⑤

「キミたちの選んだ道を応援しています。そしてキミたちの先輩が、小国で選んだ道も知ってほしい。」

 

 

自分とは違う世代の彼・彼女が、こんな風に小国を考えているのだと知った時、新成人だけでなく、たくさんの人たちにこのメッセージを知ってもらいたいな、と思いました。「おぐにっ子からあなたへ」、お伝えします。

第5回は、中沢恒暉(こうき)さん(23歳)です。

 

 

やわらかな笑顔の恒暉さんは、保育士2年生。子どもたちには下の名前で『こうき先生』と呼ばれています。

中学校の職場体験では保育園を選び、子どもたちと一緒に遊んだり笑ったりと、可愛い子どもたちの姿に接した恒暉さん。この頃から保育士の道を考えていたのでしょうか。

 

「中学生の頃は、子どもって可愛いな、と思うくらい。保育士をめざすきっかけは高校の時ですね。高校は総合学科だったので、興味のある授業をいろいろ選択できるんですが、その中に乳幼児保育の科目があって。先生から、『0、1、2歳は人との愛着を育て、人間としての根っこを獲得していく大事な時。その大事な時に関われるってすごいことなんだよ。』と教わり、そんな風に子どもと関われるなんてうらやましい!保育士ってかっこいい!って思ったんです。」

 

高校を卒業した後、保育士の資格が取れる専門学校に進み、0~2歳までの子どもたちをみる小規模保育所に勤め始めました。

 

 

「学校で知識を身に付け、実習もいっぱい行きましたが、実際に現場に出たら、かっこいいなんてもんじゃなかった。」

 

 

小さなミスが命につながる怖さ、可愛いだけではすまない毎日の関わり。最初は仕事に慣れるのが精一杯で、忙しいというより必死だった、とふり返ります。

 

「働けば働くほど、子どもを育ててきたお母さんたちって、ほんと偉大だなって思います。」

 

1年目は、「失敗だらけでもとにかくがんばって。」、2年目は、「失敗してもいいからいろんなことをやってみよう。」と、先輩の先生に教わったそうです。

まずはやってみる。でもうまくいかない。今度はこうしてみよう。

 

今は、その中で得られる経験を、一つひとつ積み重ねています。一緒に働いているベテラン先生でも、毎日が勉強と言っているのを聞くと、「いつまで勉強すればいいのって…でも一生、勉強なんですよね。」と話してくれました。

 

 

子どもは、相手の大人が信頼できる人か、良く見ていると恒暉さんは言います。これをしたら、この大人はどんな反応をするのか、自分が試されていると感じることもあるそうです。

 

「これはダメ、って頭ごなしに言うのも、何をしてもいいって思われるのもイヤだけど、子どもがちょっとイヤな気持ちをぶつけても、それを受け止める人はいた方がいい。」

 

保育士の関わり方がひとつ違えば、子どもの未来も変わってくる、という責任の重さ。子どもの育ちと命を日々守る難しさ。その毎日は、教科書に書いてあることと全然違いました。そんな中、恒暉さんは、失敗を繰り返しながらも、経験という自信をコツコツと積んでいきます。

 

 

「いろんな仕事をしてみたい気持ちもあるけど、今は保育士を真剣にやりたい。人と関わることが好きだし。」

 

そんな恒暉さんは、専門学校生だった頃、小国のコメリでアルバイトをしていました。今でも地域の人から、「レジでバイトしてた子でしょ?」と、声をかけてもらうと言います。顔を知っていてもらうことは、多少の窮屈さもあるかもしれません。でも、地域の人から気軽に声がかかる小国は、安心できる所だと恒暉さんは言います。

 

「小国の中で、やりたいことを思いっきりやったらいいかなって。外に出た人にも帰っておいでって言いたいですね。ここは安心できる場所だから。」

 

 

この春、恒暉さんは、保育士3年生になります。

 

佐々木知子
この記事を書いた人

佐々木知子 支援員