やまのいとなみ|2019/02/28

おぐにっ子からあなたに伝えたいこと~⑦

「キミたちの選んだ道を応援しています。そしてキミたちの先輩が、小国で選んだ道も知ってほしい。」

 

 

自分とは違う世代の彼・彼女が、こんな風に小国を考えているのだと知った時、新成人だけでなく、たくさんの人たちにこのメッセージを知ってもらいたいな、と思いました。「おぐにっ子からあなたへ」、お伝えします。

 

第7回は、品川知美(ともみ)さん(31歳)です。

 

 

小国にいて感じられることもあれば、外に出て見えてくるものもあります。それは、人との関わりだったり、暮らしだったり、食べ物だったり…。他の地域で働いていた知美さんが、新潟に帰って来ようと決めたのは、「ここの食べ物は美味しい!って気付いたことかな。」と言います。

 

 

高校でこれからの進路について考えた時、何か資格を取れる学校に行きたい、と思った知美さん。食べることが好きなので、食べ物関係がいいな…ということで選んだ資格は「管理栄養士」でした。

短大で勉強をし、試験を受けて管理栄養士の資格を取得。その後、小千谷市のスーパーに2年ほど勤め、惣菜の調理を担当しました。実は、スーパーに勤めている間、知美さんには心に描いていた夢がありました。

 

 

「就職してお金が貯まったら、海外に行ってみたい、って思ってたんです。」

 

行くのなら英語圏がいいと、いろいろ調べた末にオーストラリアへ。ワーキングホリデーを使い、英会話の特訓も兼ね、語学の学校に通ったり、日本食レストランで調理のアルバイトをしたりと、1年半くらい滞在していたそうです。オーストラリアでは、どんな食生活を送っていたのか教えてもらいました。

 

「普段はサンドイッチなんかを食べてましたね。お米でなくても、パスタやパンで満足していました。オーストラリアは移民の国なので、いろんな国籍の料理が食べられるんです。自然がいっぱいあるので果物に野菜、何でも美味しかったですよ。」

 

 

海外での生活を楽しみ、小国に戻って来てから、しばらくのんびりしていた知美さん。

 

「さて、次は何をしようかな、と考えた時、せっかくなので資格を活かした仕事に就きたいな、と思いました。はじめの職場では調理を担当していましたが、どうしても資格がいるっていう仕事ではなかったので。」

 

実家に住むことにこだわっていたら選択肢が狭まると思い、県外も視野に入れて勤め先を探したそうです。採用が決まった県外の病院にて、3年ほど厨房で働いていたのですが、その間にふと感じたことがありました。

 

「そこでは、めちゃくちゃ美味しい、と感じるものがなかったんです。オーストラリアにいた時は全然思わなかったのに、ここに来たら、やっぱり新潟はいいなぁって思いました。お米が美味しい、お蕎麦も美味しい、魚も美味しいって。」

 

また、趣味のスノーボードをしようと思っても、雪がある所まで高速道路を使って移動しなければならないという不便さもありました。

 

「新潟にいればこんなことないのになぁって。しばらくしたら新潟に帰ろうかな、って思っていました。」

 

今、勤めているのは、小国の実家から車で40分ほどの場所にある十日町市の病院です。そこでは給食の献立作りや栄養指導を行っています。

 

 

前の職場では、厨房で給食を作る仕事がメインで、患者さんとしゃべる機会はなかったそうですが、今は患者さんへの栄養指導などもあり、患者さんの「これくらい食べてもいい?」などの希望を聞きつつ、先生の指示からも離れないように、といったバランスに悩んだりしています。周りの先輩に助けられながら、「勉強しなきゃならないことが山積みです。」と語る知美さん。

 

管理栄養士という仕事に向き合いながら、毎日を重ねている知美さんに、先輩として小国の新成人へ伝えたいことを聞いてみたら、笑顔でこう答えてくれました。

 

 

「仕事が好きっていう人はあまりいないかもしれないけど、自分が好きなこと、やりたいことを大切にしてほしいかな。」

 

「今の自分が勉強不足を感じているので、勉強はいっぱいしてください。」

 

そんな知美さんの楽しみは、仕事の後の一杯。夏には、自分が育てた枝豆がおつまみでした。

 

 

「一人暮らしをしてた時は、野菜を買うのがちょっとばからしくて。家だったら、自分のところで採れたものが、食べたいときにすぐ食べられるじゃないですか。自分が食べるものは自分で作りたいな、とも思ってましたね。」

 

 

畑で採れたての野菜が食べられるのは贅沢なこと、と話す知美さん。

 

「県外に住むと地元の良さが分かるように、一度外で暮らしてみると、小国の良さも分かるんじゃないですかね。美味しいお米や採れたての野菜、雪で遊べる楽しみ…。どうしても実家じゃないと、っていうわけじゃないけど、やっぱりここが居心地いいのかな、って感じています。」

 

佐々木知子
この記事を書いた人

佐々木知子 支援員