やまのいとなみ|2020/03/03

おぐにっ子からあなたに伝えたいこと~⑪

「キミ達の選んだ道を応援しています。そして、キミ達の先輩が、小国で選んだ道も知ってほしい。」

 

 

自分とは違う世代の彼・彼女が、こんな風に小国を考えているのだと知った時、新成人だけでなく、たくさんの人たちにこのメッセージを知ってもらいたいな、と思いました。「おぐにっ子からあなたへ」、お伝えします。

 

第11回は、北原俊紀(きたはらとしのり)さん(36歳)です。

 

 

「スタンドの仕事で一番面白かったのは、タイヤを触ること。」

 

俊紀さんは高校を卒業後、ガソリンスタンドでアルバイトをしていました。車の中でも特に、タイヤに魅かれたと言います。

 

「タイヤにも、いろんなモデルやメーカーがあるじゃないですか。ヨコハマだとこう、ダンロップならこう。カタログを見ながら勉強するのは、楽しかったですね。」

 

 

そんな俊紀さんが、4年間勤めたガソリンスタンドをやめた後に出会ったのが、今の職場、タイヤ館です。

 

「たまたま募集してるのを見てやってみようかな、と。あっという間に12年ですね。ブリヂストンタイヤの販売や、簡単なメンテナンスが主な仕事です。繁忙期はきついこともあるけど、今の仕事に誇りもやりがいもあるし、いろいろな所に研修に行って、知らない知識を得るのは面白いですね。」

 

研修の機会が多い会社ですが、他県の様子も見て来なさいと、埼玉のタイヤ館に4カ月ほど、単身赴任したこともあります。

 

「この時、地元への思いが深くなった気がします。不便さが何もない都会生活より、田舎暮らしが自分は好きだなって。」

 

 

小国に根ざした暮らしの中で、俊紀さんが夢中になったのは登山。

 

「20歳くらいかな。知り合いがいきなり『富士山行こう』って。まずは八石山で準備しようと、仕事の休みに山に行ったら、ああ~いいなって思いましたね。富士山では雨に打たれて、山小屋でふるえながら布団に入りました。つらいな、甘かったな、と思ったけど、ご来光や山頂からの景色を目に焼き付けた時に、すごい達成感があって。それからかな、登山に没頭したのは。」

 

 

休みの度に、あちらこちらの山に登りました。

 

「印象に残っているのは、北アルプスを縦走して、初めてテント泊をした時。朝5時くらいに出て、夜7時くらいに着いたかな。テント張った後、飯食う前にくたびれて寝てしまって。目が覚めて外をパッと見たら、星空とすごいきれいな…山小屋の灯りが点々と見えるんですよ。安曇野の街の灯りも下の方に見えて。次の日は、雲海の上から日の出を見ました。この登山で、価値観が変わりましたね。登山の中では一番つらかったと思うんだけど、最高に楽しかった。」

 

その後、子どもさんが生まれ、仕事に育児にと山に登る時間もなかなか取れない中、「時短になるな」と始めたのが“トレラン”です。“トレラン”ことトレイルランニングは、舗装されていない自然の中を走るスポーツ。

 

 

「当時、走るなんて発想いっさいなかったんですけど、憧れのあの山に行くのに往復2,3日かかるところが、走れば1日で行けちゃうんじゃない?って。単純にそれだけですね。」

 

山の中では、きつかったら歩いたり、平らな所は走ったり。景色を見ながら、写真を撮りながら、山を走るのは楽しかったと言います。

小国でも、“越後カントリートレイル”という、トレランの大会があります。地域の人がコツコツと準備を重ね、当日は沿道で拍手をし、鍋を叩いて、大会を盛上げます。俊紀さんはこの大会に、コース整備の面で携わっています。

 

 

「こうして地域の人が協力してくれるので、みんなに喜んでもらえる大会にしたい。小国にあるフィールドも活かしたいですね。実現できるかわかんないですけど、八石山の縦走も面白そう。」

 

 

 

実は俊紀さんには、もう一つの肩書があります。それは“星空案内人”。星や宇宙の楽しみを教えてくれる、ガイドさんのことです。そんな星空案内人の資格を持っている俊紀さんが、子どもの頃に小国で見た、星の話をしてくれました。

 

 

「小学生の頃かな。ヘールボップ彗星っていう、2つのしっぽが見える大きな彗星が飛んできたんですよ。母親を呼んで一緒に見てました。住んでたところが良かったんでしょうね。小国だと、建物なんかの町の光が反射されないから、きれいに見えるんです。」

 

小国は、空気が澄んでいて光害が少ないので、星がきれいに見えるのだそうです。環境省の『夜空の明るさを調べよう』という取組にも参加しているとお聞きしました。

 

 

「子どもの頃から好きでしたが、望遠鏡を手に入れたのは2年くらい前。全然ちがいますよ!土星ってあるじゃないですか。あれを見た時はさすがに感動しましたね。子どもも喜んだし。小学生が集まるタイミングで、星空観察とか楽しそう。それこそ森林公園とかでね!」

佐々木知子
この記事を書いた人

佐々木知子 支援員