やまのまなび|2019/09/20

聞き書きの世界を体験してみよう!

「聞き書き」という言葉を聞いたことがありますか。

 

恐らくあまり聞き慣れないこの「聞き書き」とは、語り手の人生を受け止めて、それを作品としてまとめていく作業のことを言います。

 

 

インタビューや社会調査のようなものかな、と思う方がいるかもしれません。「聞き書き」は、そのような聞き取りとは違っていて、語り手の話した言葉をそのまま書き止め、語り手が目の前で今まさに話しているかのような文章として、まとめていくものです。

 

長岡市小国地域では、2019年度に二つの「聞き書き」の取り組みを行っています。一つは、小国中学校の授業として例年行われている「地域貢献活動」の中の取り組みとして、そしてもう一つが、今回ご紹介する「聞き書き連続講座」です。

 

 

「聞き書き連続講座」は、小国地域の昔の暮らしや生業、そこで生きてきた方の思いを作品として残し、次の世代を担う若者に伝えたい、聞き書きという作業を通して地域の高齢者の方と知り合ってほしい、そして生き方や哲学にじかに触れてみたいという思いで企画したものです。

 

 

 

高度経済成長の前後を経験した70代後半以上の方々は、その経験について語る機会がなく、お亡くなりになるケースも多くなっています。みなさんに語り手をお願いできる今のタイミングで、一つでも多くの聞き書き作品を作りたいと考えています。

 

 

聞き書き作品は、事例集ではありません。一人一人にそれぞれの人生があります。誰一人として同じものはないし、同じ人生を体験することもできません。ですが、聞き書き作品を作る作業を通して聞いたこと、書き止めたこと、そして同じ空間に居合わせたことは、作品を作った人間にとって、とても大きな意味を持つことでしょう。

 

 

これから社会がどのように変化し、どのように生きるのか、働くのか、そして死んでいくのかということに対して、誰もが不安を感じています。そんな不安を感じたとき、聞き書き連続講座で体験したこと、一緒に笑ったり悲しんだりした時間を思い出し、それが次の一歩を踏み出す元気や勇気になればと願っています。

 

 

さる9月1日には、全国の高校生を募って実施する「聞き書き甲子園」の主催団体である認定NPO法人共存の森ネットワーク理事長の澁澤寿一氏にご講演とご指導をお願いし、実際に聞き書き作品作りに取り組み始めました。

 

 

聞き書き連続講座で語り手になっていただいたのは、小国地域の70代の方3名です。どなたも本当にお元気で、2時間の予定時間も苦にならず、ご自身のことを語ってくださいました。

 

かつてあった劇場や酒蔵の話。

 

雪の中、数キロの距離を歩いて駅まで家族を迎えに行った話。

 

子どもの頃の楽しかった遊びや行事の話。

 

厳しく辛かった仕事の話。

 

今、夢中になっていることや残りの人生でやりたいことの話。

 

2時間ではとても語り尽くせない、聞いても聞いても出てくる話に、参加者もスタッフもどんどん引き込まれていきました。

 

 

お話を伺ったあとに待っているのは、文章に書き起こしていく作業です。とても地道で地味な作業ですが、これを抜きにして聞き書き作品は仕上がりません。参加者とスタッフで分担しながら、作品の完成までこつこつと進めていきます。

 

 

11月30日には、完成した聞き書き作品のお披露目会を開催します。

日程の都合などで連続講座に参加できなかった方にも、ぜひ作品や聞き書きの魅力を知っていただきたいと思います。

小国地域はもちろん、地域外でご関心のある方もお越しくだされば嬉しいです。

 

日 時:2019年11月30日(日)

13:00~15:30

会 場:おぐにコミュニティーセンターだんだん

(長岡市小国町新町304-1)

参加費:無料

問合せ:(公財)山の暮らし再生機構

TEL→0258-30-1213

E-mail→jun_enomoto@yamanokurashi.jp

        (@を半角にしてください)

備 考:末尾のフォームに「聞き書き発表会参加」と入力し、

お申し込みいただくこともできます。

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榎本淳
この記事を書いた人

榎本淳 支援員